【医師監修】正しい糖質制限ダイエットのやり方と注意点

大学病院で食事とダイエットの研究をしていました医学博士の榎本蒼子(えのもとあおこ)です。

近年話題の糖質制限ダイエット。
「興味はあるけどやり方がわからない・・・。」
「外食が多いんだけど、どうすれば糖質制限できるの?」
「糖質制限して健康に影響はないの?」

など糖質制限に関する疑問に対して、今回は正しい糖質制限の方法と糖質制限で痩せるメカニズム、上手に続ける方法などをご紹介します!


糖質制限ダイエットとは

糖質制限ダイエットは、糖質を控えて血糖値を上げない食事をすることで、身体についた体脂肪を落とすダイエットです。

糖質というとお菓子やジュースなど甘いものを思い浮かべがちですが、私たちがよく食べるお米、パン、めん類、イモ類などの主食となる炭水化物のなかにたくさんの糖がはいっています。

糖質制限ダイエットではスイーツ類はもちろんのこと、炭水化物を食べないようにして肥満解消を目指します。

糖質制限には、3食すべてから炭水化物を抜くストイックな方法から、炭水化物を少なめに食べるライトな方法まであるのですが、糖質制限ダイエットすべてに共通するのは、炭水化物(糖質)以外はしっかり食べてカロリーを摂ることです。

あとで詳しく説明しますが、ここが糖質制限ダイエットを成功させる重要なキーポイントになりますから、押さえておいてください。

糖質制限ダイエットはなぜ痩せるのか

糖質制限ダイエットでは、

  • 脂肪をため込みにくくする効果
  • すでに身体についた体脂肪をエネルギーとして消費する

という2つのメカニズムによって痩せます。


まず糖質制限では、タンパク質、脂質、炭水化物の三大栄養素のうち、糖質を含む炭水化物だけを食べないようにすることで、血糖値の上昇が起きないようにします。
なぜ血糖値を上げないようにするのかというと、血糖値が上がるとすい臓からインスリンが分泌されて、そのインスリンが脂肪の分解をストップさせて身体に脂肪を溜め込んでしまうからです。
血糖値を上げないことで、脂肪をため込みにくい体質をつくるのです。

糖質を食べない食生活をつづけることで、身体への糖の供給がなくなりますから、その不足したエネルギーをなんとか補おうとして身体は体脂肪を分解・消費するようになり、体脂肪がへっていきます。
正しく糖質制限ができていれば、筋肉の量を保ったまま、脂肪だけをへらすことができます。

過度な糖質制限によって筋肉が落ちてしまうのではないかと恐れる人がいるようですが、医学的根拠は示されておらず、実際にそのような患者さんに出会ったこともないのです。

以前は糖質制限をすることで死亡率が1.3倍になるという研究報告があり、糖質制限ダイエットの安全性について、疑問視する声もありましたが、国立国際医療研究センターの研究者らと北里大学の研究者らの最新の研究で、糖質を控えたほうがむしろ死亡率が低いことが報告され、安全性が改めて確認されています。

糖質制限のデメリット

糖質制限のデメリットは人によっては便秘になりやすかったり、ごくまれに尿路結石ができやすかったりする場合があることです。

糖質制限ではイモ類などの炭水化物を食べないので、食物繊維が不足して、便秘になるのですが、糖質の少ない野菜をしっかり食べることで改善できます。

尿路結石については、もともと結石ができやすい人が糖質制限をした場合に、尿路結石ができてしまうケースがあります。
しっかりカルシウムをとってある程度予防できます。

糖質制限ダイエットのやり方

糖質制限ダイエットの基本的なやりかたは、「主食をやめておかずをしっかり食べる」です。

おかずを食べるときは肉・魚・たまご類をしっかり食べるようにして、甘い味付けの煮物や衣のついた揚げ物類、イモを使った副菜を食べ過ぎないように気を付けます。

糖質制限ダイエットの強度は目的や生活パターンに合わせて、初級、中級、上級の中から自分に合ったものを選ぶとよいでしょう。

初級

「最近体重が増えてきたので太るのをストップしたい。」
「美しい身体を維持したい。」
という人には、軽めの糖質制限ダイエット初級レベルがおススメです。

初級レベルの1日あたりの糖質量の目安は、130グラム以下です。
現代の日本人は通常1日当たり270~300グラムの糖質を食べていますから、ちょうどその半分ぐらいの量です。

1日あたりの糖質を130グラム以下にする方法は、糖質制限ダイエットの第一人者であるアメリカのリチャード・K・バーンスタイン医師が推奨しています。

やり方は簡単で、お菓子や砂糖入りの飲み物をやめるのは基本ですが、“夕ご飯のときだけ主食抜きでおかずだけ食べてみる”パターンや、“ランチと夕食のご飯をそれぞれ半分にする”など、完全に炭水化物を抜いてしまうのでなく、ゆるい糖質制限のイメージで取り組みます。

中級

初級レベルを試してみて、慣れてきたら中級レベルに挑戦しましょう。

中級の1日あたりの糖質量の目安は70~100グラムです。
コンビニのおにぎり1個に入っている糖質がおよそ30~35グラムですから、2個でだいたい70g強の糖質量をイメージしてください。

1日あたり糖質70~100グラムを守るためには、3食のうち、お米やパンなどの主食を食べるのはランチだけにして、朝食と夕飯はおかずだけ食べるようにすると続けやすいです。

中級レベルではおかずの糖質にも注意します。
衣のついた揚げ物や、イモやかぼちゃを使った煮物など、糖質の高いおかずはNGです。

上級

短期間で確実に痩せたい人や、確実に効果を出したい人は上級レベルの糖質制限が必要です。

上級レベルでは1日あたりの糖質摂取量は30~70グラムまでです。
原則的に3食すべての食事から炭水化物を抜いて、おかずだけをしっかり食べるようにします。

ほうれん草やトマトなど、糖質の低い食品だけを使った惣菜にもわずかに糖質が含まれているので、おかずをしっかり食べるだけで1日に必要最低限の糖質は摂れてしまいます。

上級ではドレッシングやウインナーなどの加工食品に入っている糖質にも気を付けて、食べ過ぎないようにします。

どこまで糖質制限すればいいの?

糖質制限ダイエットをどこまで厳しくやるかはあなたの体格とライフスタイル次第です。

糖質制限ダイエットには手軽に取り組む初級レベルから、全く主食を食べない上級レベルまであります。
早く結果を出したいなら、はじめの一週間はがんばって炭水化物をすべて抜いて徹底して糖質制限し、体重が減り始めたら、1日1食は炭水化物OKにしてダイエットを続けるやり方がおススメです。

ストイックな糖質制限によって、一度痩せやすい体質になれば、そのあとはゆるめの糖質制限で少しずつ痩せていくことができるからです。

糖質制限ダイエットは極端に太っている人や、3食すべて炭水化物だらけの食生活をしているような人ほど劇的な効果が出やすいので、3食のうち1食だけ炭水化物を抜くような、ゆるい糖質制限でもある程度痩せます。

糖質制限ダイエットの効き具合は体質によってもひとりひとり違うので、自分の場合はどこまで糖質を減らせば痩せはじめるのか、自分に合った糖質制限の程度を探ってみましょう。

お米やパンが好きで、いきなり炭水化物をすべてカットする自身がないなら、初級または中級からスタートするのもOKです。

外食が多い人は、肉や魚などのおかずを中心に食べるようにして、しめのめん類やご飯類は残すように工夫しましょう。

糖質制限ダイエットの注意点

糖質制限ダイエットを行う上で注意しなくてはならないことは、決してカロリー不足に陥らないようにしっかり食べることです。

糖質制限ダイエットではカロリーを制限せず、糖質の少ない食べ物をたくさん食べることで脂肪が燃えやすい身体をつくります。
もしカロリーが不足することがあれば、身体の代謝は落ち、痩せにくい体質になってしまうばかりか、身体に不調が出てきます。


大学病院で糖質制限ダイエットの指導をしていた時も、
「糖質制限ダイエットをしてから疲れやすく、フラフラめまいがするんです。」
「最近抜け毛があって、肌もカサカサしてきました。」

という患者さんがいました。
身体に不調を感じたとしら、それは糖質制限が正しく出来ていないサインです。

よくよく話を聞いてみると、食べる量が少なく、単にカロリー不足に陥っていたのでした。
カロリーは気にせず、糖質の少ないものをいっぱい食べるようにしてもらったところ、肌や髪もきれいになり、シャキッと元気になりました。


「自己流に糖質制限をやってみたのですが、痩せないんです。」
という患者さんも話を聞いてみると、糖質制限しているつもりが糖質の多い食べ物を知らずに食べているケースがよくありました。

意外なものに糖質が含まれていて、知らずに食べているとうまく糖質制限ダイエットができませんから、食べてもいい食品とNG食品とを正しく知ることが大切です。

食べてもいい食品

  • 肉類
  • 魚介類
  • チーズ
  • 豆腐
  • ナッツ
  • オイル類(バター、オリーブオイル、ココナッツオイルなど)
  • 糖質の少ない野菜(ほうれん草、レタスなどの葉野菜、ブロッコリー、ピーマン、トマト、ナス、キュウリ、アボカド、キノコ、海藻など)

野菜は糖質の低いものはOKです。
たくさん食べて、ビタミンと食物繊維を摂りましょう。
調理方法はシンプルな塩焼きや素揚げなどが良いでしょう。

控えたほうがい食品

  • 糖質の多い野菜(かぼちゃ、じゃがいも、にんじん、キャベツ、とうもろこし、レンコンなど)
  • 餃子の皮、揚げ物の衣
  • そらまめ、エンドウまめ
  • ソーセージ、ちくわなどの加工品

根菜類はでんぷん質など糖質の多いものがあるので注意が必要です。

餃子の皮や揚げ物の衣は食べ過ぎないようにしましょう。
ソーセージ、ちくわなどの練り物には糖質が高いものがあるので注意しましょう。

食べたらダメな食品

  • スイーツ
  • 米、パン、うどん、パスタ、そば、ラーメン、ピザ、お好み焼きなど主食類と粉もの
  • はちみつ
  • フルーツ・ドライフルーツ
  • シリアル
  • 甘い味付けの煮物やあえ物
  • はるさめ、マロニー
  • 牛乳

実は意外なものが糖質制限ダイエットではNG食品です。

これらの食品を気づかずに食べてしまって、痩せずに失敗している人が多いです。
例えばはちみつやフルーツ、シリアル類は一見健康に良さそうですが、どれも糖質が高いので食べてはいけません。

はるさめやマロニーも正体はでんぷんなのでNGです。
牛乳も糖がたくさん含まれているのでNGです。

甘い味付けの料理に注意しましょう。
肉を食べるときも焼肉とすき焼きはNGです。
焼肉とすき焼きのたれにはたくさんの砂糖が入っているからです。

低糖質なコンビニ食品

実はコンビニは糖質制限ダイエットの強い味方です。
コンビニで手軽に手に入る糖質制限OK食品をご紹介します。

コンビニ全般

  • ゆで卵
  • チーズ
  • ナッツ
  • からあげ
  • サラダ
  • おでん

コンビニのおでんは卵、白滝、厚揚げなど糖質の低いものを選べば立派な糖質制限ダイエットになります。
からあげや焼き鳥なども良いですね。

ファミリーマート編:ライザップコラボレーションシリーズ

ファミリーマートでは、ライザップとコラボレーションした糖質制限シリーズの食品が販売されています。

糖質の低いサラダや、パン、スイーツまであります。
ライザップシリーズのスイーツ類は血糖を上げない甘味料を使用しており、おいしく糖質制限ダイエットができます。

ローソン編:ブランパンシリーズ

ローソンは糖質制限食品が充実しています。

オリジナルのブランパンシリーズは大麦ふすまを使って糖質を抑えていて、たくさんの種類が出ています。
低糖質なスナック菓子やバウムクーヘンなどもあります。

まとめ

糖質制限ダイエットで痩せるメカニズムと成功させるためのポイントについてみてきました。

炭水化物が食べられないダイエットなんて無理・・・。
とあきらめていた人もいるかもしれませんが、意外に食べられるものは多く、しかもお腹いっぱい食べても痩せられるので、取り組みやすいダイエット方法です。

自分のライフスタイルに合わせて、正しい方法でダイエットを成功させましょう。

出典元

論文


日本語の文献

  • 「糖質制限の真実」著者 山田悟(北里大学北里研究所病院糖尿病センター) P.125-127

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この記事を書いた人

榎本 蒼子(えのもと あおこ)

榎本 蒼子(えのもと あおこ)

2011~2015年 京都府立医科大学にて助教を勤め、医学研究に従事。 脳科学・神経科学が専門で、主な研究テーマは「食事による健康・美容への影響」、「女性ホルモンと食欲」「脳の摂食コントロール」等。 海外の最新情報をとりいれながら、専門家ならではのサイエンスの視点でダイエットの記事を執筆したいと思っています。

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